研究分担者:

  • 土屋由香(研究代表者、京都大学)

■分担研究

冷戦初期(1950年代~60年代初頭)のアメリカが、原子力をはじめとする科学技術を対アジア外交、特に相手国の「心を勝ち取る」ための広報文化外交の手段としてどう用いたのか、受入れ国側の内発的事情にも着目しながら解明する。具体的には

  1. 日本への軽水炉売り込みに関する情報流通
  2. 日本・ベトナム・ビルマへの原子力技術援助の比較
  3. 反共文化組織International Association for Cultural Freedomに見る文化冷戦と科学

以上の3方面から一次史料に基づく実証研究を進める。

個人WEBサイト:
京都大学教員紹介ページ
https://www.h.kyoto-u.ac.jp/academic_f/faculty_f/213_tsuchiya_y_0/

  • 川島真(東京大学)

■分担研究

これまで日中戦争期や冷戦期東アジアのメディア史を勉強してきました。例えば、満州国のラジオ放送、日中双方のラジオを用いた宣伝戦、戦後初期中国でのテレビ放送事業、戦後台湾(中華民国)から海外向けの宣伝などです。この科研に対しては、東アジア冷戦期の大きな課題である、グローバルな米ソ冷戦といったコンテキストと、東アジアに内在する冷戦期の国際関係史をいかに接合するのかという点に関心があり、参加することにしました。ただ、「科学技術」の観点をいかに入れるか難渋しており、目下のところ、すでにおこなったテレビをめぐる中国での言説、または1960年代の海底資源をめぐる探査にする中国や台湾での議論にするか、あるいは新たに中国の核兵器開発をめぐる宣伝に注目するか検討中です。

個人WEBサイト:http://www.kawashimashin.com/

  • 三澤真美恵(日本大学)

■分担研究

冷戦期東アジアにおいて米国側から「不沈空母」と見なされた中華民国・台湾で、反共イデオロギーと大衆向けの科学技術言説がどのように結びついていたかを調査分析する。その際、「反共抗ソ総動員運動」の各種活動、党内向け雑誌『宣伝週報』、米国の広報機関たるUSIS台湾が発行していた雑誌『今日世界』、政府に批判的なリベラル知識人が発行していた雑誌『自由中国』のほか、大衆に人気のあった娯楽雑誌や映画作品などにも着目することで、反共イデオロギーがどのような立場の違いを含みながら共有されていたのか、という点にも注意を向ける。

個人WEBサイト:http://misawa.pbworks.com

  • 小林聡明(日本大学)

■分担研究

地域をめぐる学知としての地域研究は、しばしば第二次世界大戦期に戦争の学問として形成されたと指摘される。だが、朝鮮半島地域に関する学知は、第二次世界大戦期というよりも、むしろ冷戦期に蓄積され、発展していったとみることができる。
本研究は、「韓国研究」としてのコリアン・スタディーズに着目し、朝鮮半島をめぐる学知と冷戦のダイナミズムを明らかにしようとするものである。

  • 隅田学(愛媛大学)

研究協力者:

  • 藤岡真樹(京都大学)

■分担研究

近代化論のアジアへの伝播―学術研究者と科学技術者の相互交流に注目して

本研究は、1960年代の近代化論の東アジア地域(日本およびインド)への伝播の史的過程について、近代化論の構築に関心を持つ学術研究者と、東アジアにおいて近代化論に即した工業化・産業化を目指した人びとの相互交流に注目し、開発経済学や冷戦期の国際政治の動向を踏まえつつも、それを越える視点から近代化論伝播の要因を考察しようとするものである。冷戦期のアメリカ合衆国による近代化という「文化」の東アジアへの伝播・普及とアメリカの冷戦外交との関連性、および両者の重層性を分析・考察することで、研究協力の役割を果たしたいと考える。

  • ほか